［ポストミュージアム］（２）パノラミック・ミュージアムスクエア構想

パナソニック本社工場跡地：カダモの森から

花博公園（鶴見緑地）まで、

パノラミック・ミュージアムスクエア構想

KADOMA北西地区KDWは、若手アーティストやデザイナーのタマゴたちが多く住んでいる地区。新しいデザインショップやギャラリーもよくオープンする活発な街で、昭和のたたずまいが残されたエリアが至るところにあり、リノベーションした廃屋や空倉庫、空店舗をアーティストたちのアトリエになっている。ストリートそのものがギャラリーになっているところもある。そんなKDWの中で最もアーティスティックなストリートが、KDSTである。ストリートは京阪・西三荘駅から花博公園につながる遊歩道になっていて、木々の間にオブジェが置かれている。

石でできたベンチが多いが、これがベンチか？と思うようなものもある。高い並木の下を歩いているだけでも気持ちがいいが、それに加えてユニークなオブジェが目を楽しませてくれる。また、KDSTでは花や野菜の無人アート販売や産地直送市場が開かれる。

2年ほど前から始まった市場であるが、去年までは8月のみの開催であったのが、今年は8月から3ヶ月となった。採れたてのオーガニック野菜は大変な人気で、開店前の10時からすでに長蛇の列になる露店もある。各ショップのディスプレイも見もので、買い物がなくてもただ見て歩くだけでも楽しいひと時である。とは言っても採れたてのオーガニック野菜の味は格別で、多少並んだとしてもぜひ手にいれたいものである。野菜の他、ハチミツや手作りジャム、花や鉢植えなども売られている。

花博の理念を継承したカダモらしいまちづくりを進めよう

１．地球環境時代の私たちの生き方を提起した花博

緑の量ではなく、緑の質、緑の文化という点から、カダモの都市緑化のあり方を捉えることが大切です。以下、三つのこれからのあり方を提起します。

＜第１市民が愛する、質の高い花と緑の文化拠点をつくる＞

ニューヨークもビジネスの街だが、セントラルパークは市民に心から愛され、市民の心のふるさと、緑の文化拠点となっている公園です。カダモ周辺にもセントラルパークに匹敵する花博公園があります。でも市民の愛し方は、セントラルパークには及ばない。花博公園を花と緑の文化拠点として、市民のふるさととして、もっと愛されるように質を高める必要があります。

＜第２住民と企業が、自ら花と緑のまちづくりを進める＞

自分たちのまちづくりの一環として、自立的に取り組むことが一番です。カダモ地区には緑化リーダー、グリーンコーディネーターと呼ばれる花緑のプロフェッショナルの存在や、先駆的な屋上緑化や敷地緑化等の企業の緑化も盛んです。さらに大阪および関西圏には、たくさんのランドスケープアーキテクトや緑化関連企業が活動しています。こうした民間の人的資源やノウハウを活かし、自主的な花と緑のまちづくりを推進することがカダモ地区都市緑化を実現することになります。

＜第３小さな花と緑を慈しみ、笑顔の広がる町内にしていく＞

カダモ地区においては、地区内の小さな住宅、路地に花や緑がきめ細かく育てられています。ちっぽけな都市空間でも、創意工夫で美しい花壇になる、というわけです。この路地裏園芸やベランダ花壇は、高密度に暮らすカダモならではの緑化手法。拠点づくりとともに、身の回りの小さなところから花と緑を育てていくこの伝統技術を深め、各地に広げていくことが重要です。小さな花と緑を路地、玄関口、窓際、ベランダなどに持ち込み、できればご近所で相談しならが通りすべてが美しく調和のとれたデザインとなるように工夫し、町全体の緑化につなげていくことが重要になってきます。

都市を緑化し、緑を増やすことはすばらしいことですが、カダモにはカダモのやり方があると分かっていただけたでしょうか。小さな花と緑を慈しみ、そのこぼれ花や実生をご近所で分けて、どんどん増やしていく。その過程で、ご近所付き合いが密になり、町にコミュニケーションが広がり、笑顔が増えていく。安全で安心できる住みよい美しい町が育てられていく。これが本来の花と緑のまちづくりの目的であり、カダモ流の都市緑化、花緑文化の目標である、と考える次第です。

皆さん、今日からでも花博の地、カダモらしい花と緑のまちづくりに取り組んでいきたいものです。

食べる景観（エディブルランドスケープ：Edible Landscape）は野菜やハーブや果樹などの食べられる植物を景観デザインとして街中に取り入れて、育てながら、見て楽しみ、食卓で収穫を味わい、食の健康を考え、地産地消と地球環境を訴える新しい景観まちづくり活動です。最近起こった動きではなく、昔からあった庭の菜園で、自給自足、地産地消などを含む自然循環型社会のあり方を景観の観点から訴える運動です。食べる景観は、都市生活を豊かにし、地域力を増大させることが可能です。既存の公園や街路樹、散歩道を食べる景観の考えに基づいて改善すれば、人々が楽しく集う利用価値の高いものになり、近所同士が維持管理を担うことで、互いの顔も分かるコミュニティが形成され、新たな地域文化が生まれます。