「できすぎす。」
理想的な黄金率は、美しすぎ近寄りがたく、魅力がない。
ちょっと乱れたり、歪んだり、傾いたりしているところにこそ、本当の美しさがある。
16世紀のイギリスの哲学者、フランシス・ベーコン
HECPでは、高齢者・障害者が中心となって、住宅、店舗やストリートなど日常的な様々な空間をアノニマスでプリミティブなアートで覆うことにより、世界でも類をみないソーシャルアートを呼び起こしていきます。HECPのアーツアンドクラフツは決して過度な技巧に走らず、不細工でもどことはなくプリミティブでアーティステック。そして、何よりもインパクトにあふれ存在感抜群です。西欧の伝統的な美意識には黄金比に起源するプロポーションの観念があり、それは反面、階調であるがゆえに退屈で魅力を感じない。むしろプロポーションが少し乱れたり、歪んだり、傾いたりしているところにこそ、本当の美がある、という積極的なアプローチを展開していきます。高齢者や障害者のスキルアップや自立支援も重要だが、それ以上に社会や市場を「不完全」、「不細工」、「不揃い」を許容する寛容で持続可能な受け皿として育んで行かなければなりません。彼らが社会参加すれば、何百万単位の新たな雇用が生まれ、また、自分が社会から必要とされているというやりがいや喜びを持って健康にいきいき働くことにより、日本社会が抱える多くの問題が一気に解決し、このような取り組みが高齢者問題の課題先進国としての日本のプレゼンスを世界への発信を高めることにもなります。
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「もてなさず。」
馳走とは旬の品をさり気なく出し、主人自ら調理して、もてなす事である。
朝夕の食事はうまからずともほめて食うべし。
元来、客の身なれば好き嫌いは申されまじ。
伊達政宗
高齢者問題の解決は高齢者への自立支援による社会参加も重要だが、 社会が高齢者によるモノやサービスを積極的に求める、現役世代と衝突しない、「アマチュアリズム」のアファーマティブな市場スキームを構築する方が合理的です。日本の高齢者起業においては、「お客様は神様」という考え方によるマナーやモラルの問題が障壁となり起業を萎縮させています。一般コモディティーのサービス業に対し、広範囲にマニュアル化した過度な「おもてなし」のサービス基準を導入することによって、働く側のメンタルなストレスが顕著化し、高齢者や障がい者の雇用を閉め出し、さらに、若者ですらこのような不況下の求人状況でもサービス業に人が集まらないという、雇用のミスマッチも生み出しています。日本の「おもてなし」は、いい意味でサービスの「プロフェッショナルイズム」とも言えるが、一方で「客」という概念が未成熟な「見た目主義」のサービス社会であるとも言えます。確かに一見細やかな心配りというのは素晴らしいが 、その反面細部への行き過ぎたこだわりが過剰にモノの命を無駄にしている場合も多い言えます。HECPの目的は社会を取り巻くユニバーサルなサービスやコミュニティの在り方、さらに市場主義偏重の人と人の関係性や公益経済社会へのパラダイムシフトに向けての価値観や関係性への変革という点にあります。
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