現在、日本全国に800万以上の「疲弊住居」ー空き家が存在する。「大阪都東特別区」は城東区蒲生地区をはじめとした、全国有数の人口密集地域である。ガモウバラックスにおける「侘び寂び」住居のコンセプトは空き家・古家の廃材と廃家具、廃家電の活用よるリノベーションだ。残置された家具などを解体して、床・壁・天井などの補修に充てるという、身の回りの資源を徹底的に利用したアラウンド・リソースという考え方である。その運営はHECPを目的とした、理念を共有する「観客」のセルフ&ボランティアサービスなどのオペレーションスタイルを導入することにより、「売り手よし、買い手よし、世間よし」三方よしの公益経済社会のスキームや高齢者やチャレンジドたちの持続可能な労働のリアリティーが見えてくる。そして、HECP をテーマにした、自宅開放の「公共住宅化」は、高齢者の自助共助の見守りカフェやワークショップ、地域のコミュニティーとして、パブリックグッズの機能を果たしている。
「侘び寂び」都市構想とは。 「家と地区」のアッセンブリによる、 コンパクトシティーを目指す。
大阪は人口減少、高齢者の増加、全国一の生活保護受給者など、喫緊の課題が満載である。「大阪都構想」などによる行政区分の変更と二重行政の解消の問題とは別に、大胆突飛な発想により、助成や制度に頼らない「ソフトパワー」での都市の再生が問われている。「今回、仮に維新が知事、市長の座を守っても、再び都構想を住民投票に持ち込むには議会の承認が必要だ。他党の協力が得られなければ、維新は次の統一地方選で過半数を獲得しなければならない。時間がかかるし、堂々巡りになりかねない。」都市の再生を行政区分という、矮小化された「ネジの議論」のスパイラルから抜け出し、大阪の未来の政策の実現可能性と持続可能性について、実体を踏まえた具体案での創造を図っていく大阪市民のレファレンダムが期待される。
「侘び寂び」都市構想は、全国に点在する空き家や古家を活用した家と地区のHECPのミニチュア地球都市(コンパクトシティー)の世界モデルである。また、コンセプチュアルなゲマインシャフト(基礎自治体)の社会モデルとして、リージョンインテグレーション(地域の統合)を戦略的に展開していくビッグピクチャーである。
「侘び寂び」都市構想は、世界に向けて日本のプレゼンスを示すソフトパワー。
日本の都市再生や地方創生においては、政府や学者シンクタンクによる周回遅れのヨーロッパ都市再生のドグマからの脱却が必要である。また、「限界集落」などは、情報の尻先端を追う学者によるマスコミ向けの造語であり、日本の伝統である「侘び寂び」の美意識からすると、「限界集落」はまさに宝の山である。
「侘び寂び」とは、不足の美、不完全の美である。侘(わび)は、貧粗・不足のなかに心の充足をみいだそうとする美意識を言う。寂(さび)は、時間の経過によって劣化した様子を意味している。残念ながら、現在の日本のアートシーンにおいては、西洋の伝統的な美意識による、既成のプロポーションに対するコンプレックスや「新品崇拝」により、「古いもの」や「不完全のもの」には非寛容である。しかし、日本には古来より伝統的に世界に類を見ない「侘び寂び」という素晴らしい美意識が存在する。この「侘び寂び」都市構想は、高齢者が主体となり、HECPを理念に、社会を取り巻くユニバーサルなサービスやコミュニティの在り方、さらに市場主義偏重の人と人の関係性や、公益経済社会への「パラダイムシフト」に向けての価値観や関係性への変革を目指します。世界中に存在するの疲弊地区のサスティナブルな再生をノウハウと人材で世界をリードしていくことを目的とし、世界に向けて日本のプレゼンスを示すソフトパワーであると言える。